2018.02.27 2歯のはなし
根分岐部病変は、なぜ起こるのか ~奥歯は2本足 3本足~
大臼歯の根は、2本足 3本足
奥歯である大臼歯は、噛み締めたときに大きな咬合力がかかるため、 それに耐え得るように1本の歯に2本、もしくは3本の根を持っています。
それぞれの機能にあった形態を、生まれつき兼ね備えているのです。
しかし、歯周炎が進行して歯槽骨が下がってくると、大臼歯は歯根の形態が複雑なために、きれいにブラッシングすることが難しくなってきます。
上手に清掃が行き届かず、歯石や歯垢が付着したままになってしまうと、しだいに歯周病が悪化してしまうのです。
この大臼歯の根の分岐している部分に起こる歯周炎のことを根分岐部病変といいます。他にも下顎の大臼歯にみられるエナメル突起というエナメル質の特徴的な形態により分岐部の歯肉が厚くなっていることや、神経をお取りしてある歯の分岐部に感染が起こる場合があることが原因となっています。
初期の段階では、自覚症状が少なく、対策もブラッシングによる清掃が主体となります。しだいに進行してくると、歯肉の腫れや出血が見られ、X線写真や歯周ポケット検査において根分岐部病変と診断され、治療が必要となります。
治療法としては、
① 根分岐部の根面の機械的な清掃を行う。
② 歯根間の形態修正を行ったり、歯根を2つに分割することにより、
根分岐部を清掃しやすくする。
③ 根分岐部病変の大きさによっては、歯周再生療法により、
根分岐部の歯槽骨の再生を試みる。
しかし、重度に進行している場合、歯根の一部もしくは全部を抜かなければならない場合もあります。
歯周病や根分岐部病変は、自覚症状がほとんどなく、徐々に進行していく病気です。定期的な検診でご自身の歯肉の状態を検診結果から把握し、歯周病ならびに根分岐部病変が起こらないようにブラッシングを欠かさず行い、しっかり予防することが大切です。